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何かビジネスを立ち上げようと思った際には、個人事業主としてやっていくか、会社を設立するかの2通りが考えられます。会社法によって定められている会社の種類は4種類ありますが、そのなかでもっとも知られているのは株式会社でしょう。したがって多くの場合、「個人事業主か株式会社か」の二択で悩むことになります。
しかし個人事業主は開業届を提出することですぐ始められるのに対し、株式会社を設立するにはそれなりの知識と準備が必要になります。それでもなお株式会社を設立することには、もちろんそれなりの意味があります。
この記事では、株式会社設立の具体的なやり方を解説するとともに、株式会社設立のメリットやデメリット、必要な費用などについても触れていきます。
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目次
冒頭でも述べた通り、ビジネスを立ち上げる際にはまず「会社を設立するか、個人事業主としてやっていくか」という選択肢があります。必ずしもどちらかが優れているというわけではなく、どのような規模で何をやりたいかによって、答えは変わってきます。
1つ言えるのは、より深い知識と理解を必要とするのは会社設立のほうであるということです。個人事業主か会社設立かを選ぶにあたっては、会社設立のメリットとデメリットをきちんと理解しておくことが重要となります。
会社のなかでも代表的な形態は株式会社です。ここでは株式会社について、設立するメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
株式会社を設立するメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
いずれも事業を長く続けていくにあたっては重要な要素ばかりなので、以下の解説を読んでしっかり把握しておきましょう。
株式会社を設立する場合には、商号・目的・住所・資本金・代表者・役員などが登記され誰でもチェックできる状態になるので、一般的に個人事業主よりも高い信用を得られる傾向にあります。企業によっては、どれだけ実績があっても個人事業主には仕事を発注しない、会社しか相手にしない、というスタンスをとっているところもあります。
株式会社を設立すると、税金面で有利になります。個人事業主に所得税が課されるのに対して株式会社には法人税が課されますが、法人税は原則一定税率であるため、利益が大きくなっても税率が変わらないからです。目安としては、年間の利益が500万円を超えたあたりから法人が有利になるといわれています。
これは最初に解説した信用度の高さにも関係することですが、個人事業主より株式会社のほうが資金調達の面で有利となります。個人より法人のほうが、金融機関からの信用を得やすいからです。また金融機関からの融資以外にも、株式会社は出資という形でお金を集めることもできます。
資金の調達方法について詳しく知りたい方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
株式会社を設立するデメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
共通するのはコストの問題であるという点です。以下の解説を読んで、デメリットについてもしっかり把握しておくようにしましょう。
株式会社を設立しようと思うと、時間も費用もかかります。目安として以下の数字を覚えておきましょう。
個人事業主としてやっていく場合は、開業届を提出するだけなので、時間は1日・費用はゼロで始められます。この点は株式会社設立のデメリットといえます。
株式会社を設立すると、たとえ社長1人の会社であっても社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入する必要があります。社会保険料は、国民健康保険と国民年金に比べて高額であるため、コスト面でのデメリットとなります。
株式会社は個人事業主と比べて、厳密な会計ルールにしたがった会計処理を行う必要があります。個人事業主は自分で確定申告する場合も多いのに対し、株式会社の場合は税理士に依頼するのが一般的です。
ほかにも社会保険や労働保険の手続き、株主総会の開催など、個人事業主と比べると事務の負担ははるかに大きくなります。
株式会社を設立する手順をざっくり羅列すると、以下のようになります。
以下の解説には少し細かい内容も含まれますが、重要な基礎知識なのでしっかり目を通しておいてください。
まずは発起人を決める必要があります。発起人とは、会社設立までの手続きを進める人物のことです。人数は1名でも複数名でもよく、自然人だけでなく法人も発起人になることができます。
発起人となった人物は、最低でも1株以上の出資をしなければいけません。定められた期日までに株式の出資をしなかった場合には、発起人としての資格を失います。
発起人の役割のほとんどは会社設立までに集中しており、無事に設立された会社を経営していくのは取締役の仕事になります。
発起人が定まったら、設立すべき株式会社の基本情報を決めていきます。どのような会社を設立するつもりなのか、しっかりと設計しなければいけません。
株式会社の場合、たとえば以下のような事項を決める必要があります。
代表的なところを解説しましょう。
商号とは会社名のことであり、株式会社の場合は必ず「株式会社」という言葉をどこかに含めなければいけません。すでに使われている商号であっても、本店の所在地が異なれば問題なく使えます。これは人間の場合と同じです。人間も住所が異なれば、同姓同名の別人が何人いても法的に問題ありません。
資本金とは一言でいえば、ビジネスを始めるにあたっての元手のようなものです。かつての法律では最低1,000万円と定められていましたが、現在の会社法では1円の資本金でも株式会社を設立できます。とはいえ現実的には、資本金1円では金融機関や取引先の信用を得にくいので、ある程度の金額を用意することになるでしょう。
設立時取締役や代表取締役なども、この時点で定めなければいけません。設立前に定めておかないと、理論上は設立した直後に機関が存在しないことになってしまうからです。発起人が設立時取締役になることも許されています。
決算月(事業年度)の決め方については、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
前項で定めた株式会社の基本情報は、文書にまとめた後、しかるべき認証を受けなければいけません。会社の基本情報をまとめた文書のことを定款(ていかん)と呼びます。
定款はこれから設立する株式会社における憲法のようなものであり、一度会社を設立したら、変更するには株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が得られること)が必要となります。それだけ重要なものなので、定款の形に落とし込む前に、内容についてしっかりと熟考を重ねる必要があるでしょう。
定款を作成したら、公証人の認証を受ける必要があります。公証人とは、国の公務である公証作用を担う国家機関のことで、裁判官や検察官などを長年勤めた人物の中から法務大臣が任命するものです。公証人に定款を認証してもらうには、設立する株式会社の所在地にある公証役場へ赴く必要があります。
公証人は、定款の記載に法令上の問題がないかなどをチェックし、問題がなければ認証をおこないます。定款の認証には、発起人の印鑑証明書のほかに認証手数料が資本金の額等に応じて30,000から50,000円が必要となります。
紙の定款の場合には40,000円の収入印紙も必要となりますが、電子定款の場合であればこの費用はかかりません。
電子定款の作成から認証までの流れについては、下記の記事にて詳しく解説しておりますので、ぜひ合わせてご覧ください。
定款の認証を終えたら、資本金の払い込みをおこないます。
株式会社を設立する方法としては、発起設立と募集設立の2種類があります。発起設立とは発起人のみが出資して会社を設立する方法のことを指し、募集設立とは発起人以外にも出資者を募る設立方法のことを指します。
どちらの方法で設立する場合にも、資本金の払い込みは全員でおこなう必要があります。この時点ではまだ会社は生まれていないので、会社名義の口座は作れません。したがって発起人あるいは設立時取締役のうち誰か1人の銀行口座に払い込むことになります。ちなみに資本金の払い込みは定款の認証前でも問題ありません。
資本金の払い込みが終わったら、口座の通帳コピーを取ります。このコピーが次項で解説する設立登記の際に「払い込みを証する書面」として使われます。コピーするのは通帳の表紙・表紙裏・振込記録のあるページ、の3ヶ所です。
資本金の金額を決める際のポイントや資本金を増やす方法を知りたいという方は、下記の記事を読むことで、資本金について覚えておくべき知識を学ぶことができます。
定款の認証を受け、資本金の払い込みが終わったら、必要な書類をすべて揃えて設立登記をおこないます。株式会社の設立登記は、本店(株式会社本社の住所)の所在地を管轄する法務局などに申請します。
設立登記の申請には、登記申請書だけでなくさまざまな添付書類が必要です。たとえば以下のようなものが挙げられます。
これらの添付書類を揃えるのは非常に煩雑な作業となるので、司法書士に任せるのが一般的です。司法書士は登記の専門家であり、報酬を支払うことで必要な作業の一切を代行してくれるだけでなく、必要なアドバイスも提供してくれます。
設立登記には登録免許税が必要です。登録免許税は「資本金の1,000分の7」と「15万円」のどちらか高いほうとなります。
原則として、登記を申請した日が会社の設立日となります。
会社の設立が終わったあとにも、やるべき作業が残っています。例として以下の2つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
会社を設立したあとも、提出すべきものがいくつかあります。期限が短いものもあるので、スピード感をもって動くことが必要です。
もっとも急がなければならないのは、年金事務所に対して提出する「新規適用届」や「新規適用事業所現況書の添付書類」で、会社設立から5日以内に提出しなければいけません。次に急がねばならないのは法人設立届で、会社の本拠地である都道府県の税事務所に対し、例えば東京都であれば設立から15日以内に届け出る必要があります。
比較的ゆっくりで構わないのは青色申告承認申請書ですが、それでも会社設立から3か月以内、その前に事業年度の終了が来る場合にはその前日までに税務署に提出することが求められます。
健康保険や雇用年金といった、社会保険に関する手続きについても、年金事務所に届出をしなければいけません。これらは原則として従業員が自分しかいない場合(1人社長)でも加入する必要があるため、どのような規模の株式会社であっても手続きを省略することは不可能です。
ほかにも雇用保険に対する届出をハローワークへ提出するなど、無事に会社を設立したあとも目まぐるしく動き回る必要があります。素人が1人で動くと何かミスを引き起こす可能性が高いので、税理士などの専門家を雇って作業を一任するのが一般的です。
株式会社の設立にかかる費用は、おおむね以下のように把握しておくべきでしょう。
ほかにも税理士や司法書士に業務を依頼した場合には、別途報酬を支払う必要があります。
もっとも安く済ませようと思った場合でも、株式会社を設立するにはだいたい20万円位が必要になるとざっくり考えておけばよいでしょう。
ここまで解説してきたように、株式会社の設立には煩雑な手続きが必要となります。1つ1つは決して難解ではありませんが、時間などのリソースをできる限りこれから始めるビジネスに割きたい状況のなかでは、一連の作業に足を引っ張られるのは大きな損失になりかねません。
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株式会社の具体的な設立方法を中心として、そもそも株式会社を作ることにどのようなメリットとデメリットがあるのか、どれくらいの費用がかかるのかといったことを解説しました。
株式会社は法的には誰でも設立できるものですが、その手順はなかなかに複雑です。「こんなビジネスをやりたい」という熱意があっても、設立のための手順の複雑さを前にして、尻込みしてしまう場合も少なくないでしょう。
この記事を参考にして、ぜひスマートに株式会社の設立までこぎつけられるようになってください。
株式会社は1人でも設立することができます。
平成18年の会社法施行前は、株式会社には取締役会の設置が義務づけられており、3名以上の取締役が必要でした。
しかし法規制が緩和され、現在は取締役1人を発起人として株式会社を設立することが可能です。
株式会社を設立する際には20万円程度が必要になります。収入印紙代(紙定款を利用する場合)、定款の謄本手数料、定款の認証料、登録免許税などの費用が発生します。
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