アクセス

竹橋駅5分/神保町駅10分

電話番号
03-5217-2288
営業時間9:30~17:45

土日祝・長期休暇除く

資本金はいくらにすべき?会社設立時に決める際のポイントを徹底解説

2023
11/19
資本金はいくらにすべき?会社設立時に決める際のポイントを徹底解説
2023年11月19日
会社設立時の資本金のポイントを徹底解説

会社を設立するときに考えなければいけないことはたくさんありますが、その1つに「資本金をいくらにするのか」という問題があります。設立費用はできるだけ抑えたい一方、資本金が少なすぎることのデメリットも考えなければいけない難しさがあります。適切に設定するためには、基本的な知識を一通り備えておくことが必要不可欠となります。

「資本金は会社の規模を表すもの」という漠然とした知識があるだけでは不十分です。資本金の大きさが具体的にどのようなことにつながるのか、どのようにして増やすのか、といったことまで理解することではじめて、身の丈に合った適切な数字を定めることができるようになります。

この記事では、資本金とは何かという基本的な知識から始まり、金額を決める際のポイント、増やすメリットやデメリット、増やす方法などについて網羅的に解説します。

会社設立案内BOOKを無料提供しております。ダウンロードはこちらから!

資本金とは何か

資本金とは、会社を設立するにあたって「事業を進めるための元手」として出資者から払い込まれた金額のことを指します。生まれたばかりの会社には他にあてがないので、資本金こそが運転資金の基礎となります。

資本金の払い込みは創業者だけでなく、事業に賛同する第三者もおこなえるものです。しかし最初からそういった第三者を多数確保できる会社はほとんどありません。多くの場合、創業者が自分の資金力の範囲で、自己投資の形で捻出しています。

資本金は1円でも起業できる

かつての法律では、資本金は「株式会社であれば最低1,000万円、有限会社なら最低300万円」という最低条件が存在しました。そのため、とくに株式会社を設立するのはとてもハードルの高い行為であり、よほど手元にお金を持っているか、あるいは多くの仲間を集めることに成功した者でなければ不可能でした。

しかし現在では法律が改正され、1円でも払い込めばそれでよいとされています。資本金1円で会社を設立することは俗に「1円起業」などと呼ばれています。

資本金を低くすることの弊害

前項で解説した通り資本金は1円でも構わないのですが、低すぎることには弊害があります。会社の体力を表す指標の1つであるため、低く設定しすぎると「そう遠くないうちに倒産してしまうのではないか」などと判断され、信頼を獲得しにくいのです。

信頼を得られないと、融資を受けにくくなったり、新たな取引先との取引を進めにくくなったりします。事業を進めやすくするためにも、資本金は無理のない範囲で大きめにしておいたほうがよいでしょう。

資本金の平均は?

事業を始めたからといってすぐに利益が出るわけではないので、設立したばかりの会社はまず資本金で「食いつなぐ」ことになります。そのためあまりにも金額が少ないと、事業に悪影響を及ぼすことになります。

一般的に資本金は、営業を始めてから3ヶ月間利益が出なかったとしても事業を継続できるだけの金額が目安であるとされており、設立時の平均的な資本金は約300万円であるといわれています。

資本金を決める際の4つのポイント

資本金を決める際のポイントとしては、以下の4つが挙げられます。

資本金を決める際の4つのポイント
  • 3ヵ月~6ヶ月の運転資金として用意する
  • 税金面も考慮する
  • 許認可の条件や見え方を考慮する
  • 借入金は資本金として計算できない

いずれも重要なことなので、以下の解説をしっかり読んで把握しておきましょう。

①3ヵ月~6ヶ月の運転資金として用意する

前項でも解説した通り、資本金の目安としては「3ヶ月間利益が出なかったとしても事業を継続できる金額」が挙げられます。したがって最低でも3ヶ月分の運転資金は用意しておくことを考えておきましょう。

しかしこれはあくまでも最低限の話です。実際には3ヶ月以上利益が出ないことも考えられますし、当初予想できなかった出費が発生することもあり得ます。そのため可能であれば6か月分の運転資金に相当する金額を用意することをおすすめします。

②税金面も考慮する

資本金が1,000万円以上の会社は初年度から「課税事業者」に認定されるため、消費税を納めなければならないと法律で定められています。しかし1,000万円未満の場合には初年度の消費税は免除され、2期目以降も特定期間の課税売上高が1,000万円を超えない限り消費税は免除され続けます。

つまり身の丈に合わないほど資本金を高くしてしまうと、消費税を支払わなければならないぶんだけ負担が大きくなり、経営に悪影響が及ぶことになります。この点は注意する必要があるでしょう。

③許認可の条件や見え方を考慮する

会社の事業内容によっては、資本金あるいは純資産(資産から負債を引いたもの)に一定の要件が設けられている場合があります。これらに違反しない範囲で定めなければいけません。

また、資本金の額が取引先からどう見えるかも考慮する必要があります。資本金の少ない企業は倒産のリスクがあると判断されやすく、取引を断られてしまう可能性がどうしても高まってしまいます。ある程度の金額を確保することは会社としての「身だしなみ」だと捉えておくべきでしょう。

④借入金は資本金として計算できない

会社設立時に、役員や金融機関などから借りたお金を資本金に充てることはできません。あくまでも自己資本でなければならないからです。借入金は返済しなければならない他人資本にあたります。

他者から借りたお金は、借入金長期借入金といった勘定科目で扱われることになります。もしこれらを資本金としてしまった場合には、いわゆる見せ金であるとみなされ、法律に抵触する可能性があるので注意しましょう。

資本金を増やす3つの方法

資本金を増やす方法としては、以下の3つが挙げられます。

  • 公募増資
  • 株主割当増資
  • 第三者割当増資

いったん話を理解してしまえば、それほど難しい内容ではありません。以下の解説を読んで頭に入れておきましょう。

①公募増資

公募増資とは、新しく株式を発行して、証券市場を通して一般投資家から出資を募る方法です。ここで解説する3つの方法の中では唯一、誰から出資を得られるかやってみるまでわからないという特徴があります。

公募であるため市場全体から広く出資を募ることができるのがメリットですが、株式を新規発行するため流通量が増える結果、1株あたりの株価や利益率は下がることになります。したがって発行株式数を考える際には株式の価値とのバランスを考慮することが求められます。

②株主割当増資

株主割当増資とは、すでに株主である人に向けて、新たに出資してもらう代わりに新規株式を取得できる権利を与える方法です。あくまでも権利を与える方法であるため、株主はそれを拒否することもできます。極端な例をいうのであれば、すべての株主が拒否をすれば株主割当増資は失敗に終わります。

株主割当増資のメリットとしては、株主の構成や持分の割合が変化しにくいことが挙げられます。勢力図がほぼ変わらないため、現時点の運営体制が継続されることが期待できます。

③第三者割当増資

第三者割当増資とは、信頼のおける投資家など特定の第三者に対して新規株式を発行する方法です。市場を介さない株主割当であるため、株価を会社側である程度設定できる点がメリットですが、発行済株式総数は増えるので、1株あたりの株価や利益率はどうしても下がることになります。

第三者割当増資を行う際には、既存の株主の多くから了承を得る必要があります。新たな株主が出現することにより株式の保有比率が変化し、株主たちの勢力図が書き換わるからです。

資本金を増やす3つのメリット

資本金を増やすメリットとしては、以下の3つが挙げられます。

  • 信用されやすくなる
  • 資金調達がしやすくなる
  • 支援者が増えやすい

共通するポイントは、資本金は外部に会社をアピールする性質の強いものであるということです。以下の解説を読んで、詳細をしっかり把握しておきましょう。

①信用されやすくなる

すでに述べたとおり、資本金は会社の体力ともいうべきものなので「簡単に倒産しない安定的な経営をできているか」を測る1つの指標となります。必然的に金額が高いほど、しっかりした会社として信用されやすくなります。

逆に資本金があまりにも低い場合、たとえば新たな取引先を開拓したいと思っても断られやすくなります。今にも倒産してしまいそうな会社とは、誰も取引をしたがらないからです。

②資金調達がしやすくなる

資本金を増やすことによって、資金調達もしやすくなります。たとえば銀行などの金融機関に融資を申し込んだ場合、金融機関は返済能力を測る指標の1つとして資本金の額を見ます。したがって増資してから融資を申し込むことで、審査に通過しやすくなると考えられます。

皮肉な話ですが、お金に余裕がある状態を見せるほどお金を借りやすくなります。資金調達を考える際には、資本金を増やして会社の見栄えをよくすることを戦略の1つとして考慮しておきましょう。

③支援者が増えやすい

資本金を増やすことで会社の信用度が増すと、それにつれて事業内容に賛同してくれる支援者も増えていきます。どれほど優れたビジョンを持っていたとしても、それを実現する力が伴わない会社には誰もついてきてくれません。資本金の額は「この会社にはついていくだけの価値があるか」を測る重要な目安として機能しています。

支援者がたくさん増えれば、金銭面以外のさまざまな部分においても事業を進めやすくなることでしょう。

資本金を増やす2つのデメリット

資本金を増やすことにはデメリットもあります。代表的なものは以下の2つです。

  • 利益が希薄化するかもしれない
  • 持株比率が下がってしまうかもしれない

どちらも無視するわけにはいかない要素です。順番に見ていきましょう。

①利益が希薄化するかもしれない

株式を発行することによって資本金を増やすと、必然的に発行済株式数が増えることになります。結果として1株当たりの利益が下がり、既存の株主に不利益が生じる可能性が生まれます。この現象を利益の希薄化と呼びます。

たとえば株主に配当金を出すときには、一定の配当金を株式単位でわけることになります。このとき発行済株式数が増えていれば、それだけ1株あたりの配当金は減ってしまいます。

②持株比率が下がってしまうかもしれない

株式を発行する方法の1つとして、特定の第三者に新たな株式を割り当てる「第三者割当増資」があることはすでに解説しました。この発行方法には、経営者の持株比率が下がってしまうというデメリットがあります。

会社の運営方針は株主総会によって定められる部分が多くあります。その際に経営者の持株比率が少ないと、第三者の意見が通りやすくなり、たとえば新たな第三者の意向で現在の経営者が代表取締役を解任されてしまう可能性などが生まれます。

資本金は何に使っても良い?

資本金の使い方について何か制限があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

結論として、資本金の使い道にはとくに何の制限もありません。事業のためになることであれば、どんなことに使っても法的にはまったく問題ありません。

ただしもちろん、株主が納得できない使い方をした場合には、その責任について株主総会などで問われることになるでしょう。したがって制限がないというのは、経営人が好き勝手に使ってよいという意味にはならないのが現実です。

会社設立する際の資本金を払い込む手順

会社を設立する際に資本金を払い込む手順は、ざっくりいうと以下の3ステップです。

  1. 発起人名義の口座を用意する
  2. 通帳のコピーを作成する
  3. 払込証明書を発行する

順番に見ていきましょう。

①発起人名義の口座を用意する

発起人とは、会社を設立する際に1株以上の株式を引き受けた者のことを指します。会社設立時には、発起人が定めた銀行など(たとえば発起人の銀行口座)に、資本金となるお金を発起人自らが払い込む必要があります。

ここで発起人の銀行口座などが使われるのは、この時点ではまだ会社は誕生しておらず、会社の銀行口座が存在しないからです。

②通帳のコピーを作成する

資本金の払い込みが終わったら、そのことを証明するものを用意する作業が必要になります。具体的には、所定の口座(発起人の銀行口座など)に必要な額の払い込みがあったことがわかる通帳のコピーを作成します。

最近ではインターネットバンキングが浸透しており、通帳という概念のない銀行も数多くあります。そのような銀行を利用した場合には、銀行口座番号や名義人、払込の内容や金額がわかる明細書のページを印刷して代用します。

③払込証明書を発行する

払込証明書とは、出資金が確かに払い込まれたことを証明する書類のことです。払込金額の総額・払込株数・1株あたりの金額・日付・本店所在地・会社名・代表取締役の氏名を記載します。

この払込証明書は会社設立登記の際の添付書類となるので、必ず用意しなければいけません。

まとめ

会社設立費用としての資本金について、覚えておくべき知識を一通り解説しました。

資本金の額には会社の信用を左右する性質があるので、無理のない範囲で一定の数字を確保しておく必要があります。金融機関や取引先から信用されれば、それだけ会社経営がやりやすくなるので、会社設立の際には身の丈に合った最適な資本金額をしっかり考えるようにしましょう。

会社設立や資本金についてプロフェッショナルな知見を得たい場合には、ぜひ弊社・千代田税理士法人をお訪ねください。お客様の状況を多角的に鑑みたうえで、最適な提案を含めたトータルサポートを提供させていただきます。

無料相談も受付中ですので、お気軽にお問い合わせください。

資本金に関するよくある質問

会社設立時における資本金の平均額はいくらですか?
会社設立時の資本金の平均額は300万円程度であるといわれています。会社設立から3ヶ月間は利益がなくても事業が続けられる資金を目安に考えましょう。
借入金を資本金として会社を設立できますか?
借入金を資本金に充てることはできません。資本金は会社の資産であり、返済義務のないお金です。返済義務のある借入金を資本金にするのは法律に抵触する可能性があります。
市邉 隆志

このコラムを監修した税理士

市邉 隆志


千代田税理士法人代表。 会計税務は専門分野としてもちろんのこと、多種多様なご相談に応えていくためには、所員に長く勤めてもらい、教育と経験を積み重ねて行く事が常に必要とされます。 私たちはお客様にとっての日本一の会計事務所になるために、離職率ゼロを目標ともしています。 当社に安心して任せてください。 お客様にとっての日本一のサービスを提供し続けていきます。

お問い合わせ

Contact

無料相談いつでも受付中!

無料相談
いつでも受付中!

LINEお問い合わせ

LINE
お問い合わせ