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宗教法人のインボイス対応は必要?不課税・課税の違いと実務ポイントを徹底解説

2025
11/30
宗教法人のインボイス対応は必要?不課税・課税の違いと実務ポイントを徹底解説
2025年11月30日
宗教法人のインボイス対応は必要?不課税・課税の違いと実務ポイントを徹底解説

宗教法人は祈祷料やお守りなどの宗教活動収入が多く、インボイス制度にどう対応すべきか判断が難しい場面が多くあります。

「お守りはインボイス不要?」「駐車場の売上はどうする?」

本記事では、宗教活動と収益事業の線引き、インボイスが必要な取引・不要な取引、課税事業者になるべき判断軸を税理士の視点からわかりやすく解説します。

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宗教法人とインボイス制度の基本

宗教活動収入は不課税でインボイス不要

祈祷料、初穂料、玉串料、お守り、御朱印など、宗教的儀式と不可分な収入は消費税の「不課税取引」に該当します。これらは信仰に基づく喜捨であり、対価性がないためインボイスの交付義務はありません。

宗教法人が日常的に得る収入の多くはこの不課税取引に含まれるため、まずは宗教行為と不可分かどうかを基準に整理しておくと判断がしやすくなります。

収益事業(課税取引)はインボイスが必要

一方で、駐車場、会場貸し、物販、飲食など、宗教行為と独立した経済活動は課税取引に該当します。これらの取引では課税事業者であればインボイスの発行が必要となります。

特に、撮影利用やイベント利用など法人からの依頼が増えている宗教法人の場合、インボイス発行が求められる場面が増加しています。

課税か不課税かの判断基準

判断の軸は次の二点に集約されます。

・宗教行為と不可分か

・一般の市場と競合するか

宗教性が薄く経済性が強い取引ほど課税対象となりやすいため、迷うケースは内部で理由を文章化して残すと、後の税務調査でも説明が容易になります。

インボイスが不要な取引・必要な取引

インボイスが不要(不課税)となる取引

祈祷料、初穂料、玉串料、お守り、お札、おみくじ、御朱印

これらはいずれも宗教行為と直接結びついており、信仰に基づく行為として扱われるため消費税はかかりません。

インボイスが必要(課税)となる取引

駐車場収入(時間貸し・月極)、会場貸し、敷地使用料(披露宴・撮影等)、物販(カレンダー・土産・書籍・食品など)、飲食提供、宗教性が薄い体験イベント・各種ワークショップ

これらの活動は一般市場で行われる取引と同様で、宗教行為とは別の収益事業として分類されます。

判断が迷いやすいケース

宿坊:料金設定・継続性次第で課税

奉賛会費:対価性があれば課税になる可能性

体験イベント:宗教行為と切り離せる場合は課税

境界が曖昧な取引は、内容の説明資料や内部メモを残しておくことで、後の確認作業や税務調査でスムーズに説明できます。

宗教法人は課税事業者になるべき?判断のポイント

駐車場・貸室収入が増えている場合

課税売上高が1,000万円を超えると自動的に課税事業者となります。

特に駐車場や貸室利用は安定した収益になりやすく、気付かないうちに売上規模が大きくなるケースもあります。

継続的に収益事業を行っている寺院や神社では、月ごとの売上推移を把握し、早い段階で課税事業者化を検討しておくことが実務上重要です。

また、イベント開催時の臨時駐車場収入など、季節要因で売上が跳ねやすい場合も注意が必要です。

企業・代理店との取引がある場合

企業側は仕入税額控除の関係でインボイスの発行を求めるため、インボイスが発行できない宗教法人との取引を避ける動きが見られます。

撮影利用、イベント利用、観光誘客プロモーションなど企業案件が増えている寺社では、インボイスに対応できるかどうかが直接的に売上に影響します。

また、旅行会社や広告代理店経由の取引は特にインボイスが求められる傾向が強いため、事前に取引条件を確認しておくことが大切です。

設備投資の予定がある場合(仕入税額控除)

改修工事、社務所の新築、境内整備、什器購入など大きな支出が予定されている場合、課税事業者を選択することで仕入税額控除が適用され、実質的な税負担が軽減される可能性があります。

特に、耐震補強工事や老朽化対応など数百万円規模の工事を予定している宗教法人は、課税事業者になることでメリットが大きいケースもあります。

将来の計画に合わせて課税事業者選択のタイミングを検討することがポイントです。

宗教法人が行うべきインボイス実務対応

請求書フォーマットを統一する

与所や会計窓口が複数ある宗教法人では、担当者ごとに請求書の書式や記載方法が異なるケースが多く見受けられます。

適格請求書発行事業者番号、税率、但し書き、金額計算などの記載ルールが統一されていないと、発行ミスや訂正の手間が増えるだけでなく、取引先とのトラブルにもつながります。

統一フォーマットを事前に作成して共有し、担当者が変わっても一定品質でインボイス発行ができる体制を整えることが重要です。

宗教活動と収益事業の区分経理を徹底

授与(不課税)と物販(課税)が同じレジで処理されると、課税区分の誤りが生じやすくなります。レジの部門設定、商品コードの区分、勘定科目の分離など、日常業務の流れに合わせて細かく仕組みを整える必要があります。

区分が曖昧なまま運用すると決算時に大量の修正が生じたり、税務調査で課税処理を求められるリスクも高まります。毎日の処理段階で「宗教活動」「収益事業」を明確に区分することが最も重要です。

共通経費の按分ルールを整備する

宗教活動と収益事業の両方に関係する光熱費、通信費、賃料、人件費などは、合理的に按分して計上する必要があります。

逆に按分が不合理な場合には、税務調査で指摘され追加の税負担が発生することもあります。按分方法は、面積割合、使用時間割合、利用実績に基づく算定など、実態に合わせて決めます。

按分基準を文書化して保管しておくことで、調査時の説明もスムーズになります。

電子帳簿保存法とインボイスはセットで対応が必要

領収書・請求書の電子保存ルール

スキャナ保存を行う場合は、解像度やタイムスタンプ付与、検索性などの要件を満たす必要があります。単に領収書をスマートフォンで撮影して保存しただけでは要件を満たさないため注意が必要です。

適切な保存体制を整えるために、専用アプリや会計ソフトの機能を活用する宗教法人も増えています。

紙の領収書をそのまま撮影して保存するだけでは要件を満たしません。

電子取引データは電子で保存が必須

メール添付の請求書、ECサイトの領収書、オンライン決済の取引記録などは、電子データとして保存する義務があります。紙で印刷して保管するだけでは法令違反となるため、電子保存の環境を整備することが不可欠です。

保存方法を統一し、担当者が迷わず処理できる体制づくりが実務では大切になります。

フォルダやファイル名のルールづくり

電子帳簿保存法の検索要件を満たすには、取引先名、日付、金額など検索可能な情報をファイル名やフォルダ名に含める運用が必要です。

初期の段階でルールを決めておくことで、保存作業の手間が減り、後の確認作業も効率化できます。

宗教活動と収益事業でフォルダを分ける

宗教活動と収益事業では証憑の区分が異なるため、フォルダを分けて保存することが推奨されます。後から仕訳や取引内容を確認する際に探しやすくなり、税務調査時の対応にも大きく役立ちます

最初に正しい整理方法を設定しておくことで、日々の運用負担も軽減できます。

宗教法人のインボイスに関するよくある質問

高額な祈祷料・初穂料は課税?

金額の多少は課税・不課税の判断基準ではありません。宗教行為に対する喜捨としての性格が明確であれば非課税扱いとなります。

ただし、説明文や案内文で対価性が強く見えるような表現があると課税リスクが生じる場合があります。

金額設定の背景や宗教的性質を内部資料として残しておくと安全です。

奉賛会費・氏子会費にインボイスは必要?

宗教活動を支援するための会費で、特典やサービス提供と結びついていない場合には不課税扱いが一般的です。

会報の送付や記念品提供などの対価性が強いと判断されると課税扱いとなる可能性があるため、会の趣旨や給付内容を明確に整理しておくことが大切です。

免税事業者のままで問題ないケースとは?

課税売上が小さい、企業との取引がほとんどない、設備投資の予定がない場合は免税事業者のままでも大きな影響が出ないことが多いです。

ただし、今後の事業拡大や取引状況の変化によって必要性が変わるため、毎年見直しを行うことが望まれます。

宗教活動と収益事業が混在する場合の注意点

区分経理が不十分なまま運用を続けると、収益事業として計上すべき金額が過大または過少となり、税務調査で修正を求められる可能性が高くなります。

日常の仕訳段階から取引内容を丁寧に区分することが適正な会計処理の第一歩となります。

宗教法人のインボイスで迷ったら千代田税理士法人へ相談を

宗教法人の税務は宗教活動と収益事業の線引き、区分経理、インボイス制度、電子帳簿保存法など多くの制度が絡み合っており、判断を誤ると課税リスクが高まるだけでなく税務調査の負担も大きくなります。

宗教法人ごとに行事の形態や収益事業の内容が異なるため、画一的な対応では適切な処理が難しい場面も少なくありません。

宗教法人の実務に詳しい税理士へ相談することで、日々の会計処理から証憑管理、制度対応まで一貫してサポートを受けることができます。

初めて制度対応に取り組む宗教法人でも、専門家が伴走することで負担を軽減しながら、安心して運用できる体制を整えることができます。

インボイスや電子帳簿保存法など複雑な制度も、一つずつ丁寧に整理しながら進めることが大切です。

インボイス制度や区分経理、電子帳簿保存法の対応でお困りのことがありましたら、無料相談できる千代田税理士法人へお気軽にお問合せください。

市邉 隆志

このコラムを監修した税理士

市邉 隆志


千代田税理士法人代表。 会計税務は専門分野としてもちろんのこと、多種多様なご相談に応えていくためには、所員に長く勤めてもらい、教育と経験を積み重ねて行く事が常に必要とされます。 私たちはお客様にとっての日本一の会計事務所になるために、離職率ゼロを目標ともしています。 当社に安心して任せてください。 お客様にとっての日本一のサービスを提供し続けていきます。

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