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銀行口座には、個人用の口座と法人用の口座があります。どちらもお金を預け入れる点は同じですが、いくつかの点でサービス内容に違いがあります。
法人は法人口座を使うのが望ましいと考えるのは自然です。しかしそれは義務なのでしょうか。たとえば個人事業主が新たに法人を設立するにあたって、個人用口座から法人用口座に切り替える必要はあるのでしょうか。
この記事では、法人口座の意義について詳しく説明するとともに、審査に落ちる理由や対策、必要書類などを解説します。
最後まで読むことで、法人口座を作るべきか否か、どのように作ればよいかが一通りわかるようになるでしょう。
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目次
法人であっても、法人口座の開設を必ずしなければいけないわけではありません。法人口座がなくても事業を続けることは十分に可能です。
しかし法人口座は、ただ単に個人口座とカテゴリが違うだけではありません。法人口座ならではのいくつかのメリットがあり、口座を持つことで事業を進めやすくなる場面が考えられます。
ただし、無条件で法人口座を作れるわけではありません。個人口座は誰でも審査なしで作れますが、法人口座を作るには審査を受ける必要があります。
法人口座を開設するメリットは、主に以下の4点です。
事業を進めていくにあたってどれも有意義なものばかりなので、以下の解説をしっかり読んで把握しておきましょう。
法人口座を持っておくことで、社会的信用度が上がります。
会社が個人口座で取引をしても、法的な問題はまったくありません。しかし、会社の資産と個人の資産が区別されていないので、税務署や取引先から「きちんと管理できていないのではないか」と勘ぐられる可能性があります。
税務署に疑いを持たれると税務調査の対象になりやすくなりますし、取引先の抱く疑惑は今後の取引内容に影響を与えるかもしれません。
一方、法人口座はきちんと審査を受けて初めて持てるものであり、かつ個人の資産と分離してお金を扱っている証明にもなるので、それだけで信用につながります。
法人口座を作って、会社の資産と個人の審査を分離しておくと、経営状況が把握しやすくなります。
振込や支払いはすべて銀行を通しておこなうので、法人口座を分けていれば会社の資金の流れが通帳を見ただけで一目瞭然だからです。
現在の資金もすぐに確認できるので、これからの資金繰りについて考えるのも簡単になるでしょう。
また、法人向けのインターネットバンキングを活用することで、会計ソフトとの連携も可能です。入出金の明細を自動で取り込めるものもあるので、仕分け作業の手間を大きく削減できます。
法人口座を作ることで、法人名義のクレジットカードを作れるようになります。
法人名義のクレジットカードを持っていると、経費の仕分けが楽になったり、日常的な決済でポイントが貯まったりといったメリットがあります。
銀行口座と同じく、クレジットカードも個人と法人を分けておくことで、経理処理コストの大幅削減が可能です。
法人カードと個人カードの違いについては、下記の記事にて解説しております。合わせてご覧ください。
法人口座を持っておくことで、融資を受ける際に有利になるのもメリットです。
すでに解説した通り、法人口座を作るには審査を受ける必要があります。つまり、法人口座を持っていることは、銀行の審査に通る健全な会社経営をおこなっている証拠になります。
逆にいえば、個人口座で事業をおこなっていると、「この会社は法人口座を作らないほど問題があるのだろうか」と疑われてしまうかもしれません。
金融機関から融資を受ける際には信用が大きな意味を持つので、法人口座はぜひ持っておくべきという結論になります。
法人口座を開設するにあたって厳しい審査を受けなければならない理由は、口座の不正利用を防ぐことにあります。具体的には、マネーロンダリングの防止が主な目的です。
マネーロンダリングは、日本語に訳すと「資金洗浄」となります。たとえば脱税や麻薬取引といった犯罪によって得た「汚れたお金」は、そのまま用いると足がついて逮捕されかねません。
犯罪者はその対策として、資金の出所をわかりにくくするために、架空の会社や他人名義の銀行口座に資金を振り込みます。
法人口座は、マネーロンダリングに使う銀行口座として適しているため、申込者が正当な目的で作ろうとしているか、厳密にチェックしなければいけません。「本当に存在する会社なのか」「事業目的や計画に問題点はないか」などを審査することで、口座の不正利用を防ぐようにしています。
法人口座を考えるときにもっとも重要なポイントは、事業を進めていくうえで必須ではないということです。
個人口座を使って法人が事業をおこなうことも不可能ではありません。
しかし、すでに解説した通り、法人口座を作ることにはいくつかのメリットがあります。経理がしやすくなることや、社会的信用度が上がることは無視できない要素でしょう。
個人口座を使い続けることでメリットを享受し損ねてしまうので、できる限り作ったほうがよいといえます。
法人口座を開設するには審査を受けなければいけません。当然、審査に落ちて口座が作れない可能性もあります。
審査に落ちてしまったとしても理由は教えてもらえませんが、一般的には以下のような理由で審査に落ちると考えられています。
以下の解説をしっかり把握しておき、1つずつ解消するよう努めましょう。
会社の事業内容や目的がわかりにくいと、審査に落ちやすくなります。
まっとうに事業をおこなうつもりのない架空の会社ではないかという疑念が生まれ、口座の不正利用が疑われてしまうからです。
実際には正当な事業をおこなうつもりであっても、銀行の審査担当者からそのように判断されなければ審査は通過できません。誰が見てもはっきりとわかるような事業内容や目的をアピールすることが大切です。
資本金の額が少ないために落ちてしまう場合もあります。
現在の会社法において、資本金は1円であっても会社設立は可能です。しかし、資本金があまりにも少なすぎると、なんらかの不正利用のために作るペーパーカンパニーではないかと疑われてしまいます。
結果として審査に落ちてしまうかもしれません。事業内容にもよりますが、最低でも100万円ほどの資本金は用意しておくことをおすすめします。
審査においては、会社自体だけではなく代表者の情報も吟味されます。
代表者の経歴や実績に問題があると、審査に落ちてしまう場合もあります。
例えば、任意整理や自己破産の経歴があったり、反社会勢力と関わりがあったりといった人物であれば、信用を得られず審査に通らない可能性が高くなるでしょう。日頃の身の振り方は、しっかりとしておく必要があります。
必要書類に不備がある場合も、審査に落ちやすくなります。
書類に抜けがあるのは問題外ですが、きちんと揃えていたとしても内容次第では問題ありと判断される可能性もあります。
例えば、申請書に記載されている住所と実際の住所が異なっていれば、架空の会社であるかもしれないと判断されるかもしれません。したがって、ミスがないよう細心の注意を払う必要があります。
また、会社の所在地から離れた金融機関で口座を開こうとしたときも、申請を断られる可能性があるので注意しましょう。
本店所在地がバーチャルオフィスである場合も、審査に落ちてしまう可能性が高まります。
バーチャルオフィス自体は正当なものですが、悪意のある人物がペーパーカンパニーを作るために利用するケースが多く見られるからです。
事業開始直後の経費削減のためにバーチャルオフィスを利用することは、賢明な判断かもしれません。しかし、法人口座を作る場合に関していえば、信用度の点で不安のある選択であるともいえます。
法人としての実態がつかみにくい場合も、審査に落ちてしまうことがあります。
銀行側から見ると、詐欺などの犯罪で利用するために作る架空の会社かもしれないと判断できるからです。
また、設立登記を終えてすぐのタイミングで法人口座の申し込みをしたときも、審査に落ちてしまうかもしれません。手続きから日が浅い場合、法人登記のデータがまだ登録されていないからです。
法人口座開設の審査に通るための対策としては、主に以下の3つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
金融機関ごとの審査基準をしっかりと理解して行動することは、審査に通るうえで重要です。
法人口座開設の審査において重視されるのは、主に以下の4つです。
最後の項目については意外と見落としがちです。固定電話や会社の公式サイトは、自分の会社が犯罪に利用するための架空のものでないことを証明する役に立ちます。
固定電話や会社公式サイトは、法人口座の開設以外でも、用意しておくと便利なので、余裕があれば用意しておきましょう。
必要書類を確実に揃えることは、審査に通るうえで基本中の基本といえるでしょう。
1つでも書類が揃わなければ、審査に通る可能性は低くなってしまうので、書類の抜けがないか何度もチェックすることが大切です。
また書類は揃っていたとしても、その記載内容に問題があれば、やはり審査に通る可能性は低くなってしまうでしょう。
例えば、記載されている住所と実際の住所に違いがあると、不正をおこなうための架空の会社ではないかと疑われてしまいます。
事業の目的や口座を開設する目的は、明確に説明できるようにしておきましょう。
「どのような事業をおこなうつもりなのか」「法人口座を使って何をしたいのか」が明らかでないと、正当な理由で法人口座を作ろうとしているとみなされない可能性があるからです。
また、上記のような目的が明確であることは、事業を進めていくうえでも大切な要素となります。ビジョンがはっきりしていないと、成功をつかむのは難しいといえるでしょう。
その意味では、法人口座を作る以前の問題として、目的を明確にしておくことには大きな意味があります。
法人口座を開設するにあたって必要な書類としては、以下のようなものが挙げられます。金融機関によって異なるため、ホームページなどで確認しましょう。
1つでも欠けると法人口座の開設は不可能になるので、しっかり把握しておきましょう。
履歴事項全部証明書(登記簿謄本)は、会社が実在することを証明するものとして必要になります。
会社が実在するのであれば、必ず設立登記を済ませているはずだからです。履歴事項全部証明書は、登記の内容をコピーしたものであり、法務局で取得できます。
認証済みの会社定款も、必要書類として揃えておく必要があります。
定款とは会社のルールブックのようなものであり、会社の所在地や役員の決め方、株式の形式などが記載されたもの。銀行の審査担当者に、会社の具体的な形を示すために提出します。
株式会社の場合、定款は公証人役場で認証されている必要があります。しかし、合同会社など持分会社の場合、そもそも認証を必要としないので、この点は無視して構いません。
代表者の実印と印鑑証明書も、法人口座を開設するにあたって提出しなければならないものです。
会社が正当なものであることを証明する必要があるのと同様、代表者についても問題のない人物であることを示す必要があるからです。
銀行の立場からすると、代表者として記載されている人物が実在しない可能性も検証しなければいけません。そのために実印と印鑑証明書を求めてきます。
会社の実印と印鑑証明書も、法人口座の審査には必要となります。
会社が実在しているのであれば、必ず実印と印鑑証明書を提出できるはずだからです。
銀行は会社が実在するものであるかどうかを非常に重要視します。マネーロンダリングを目的として、ペーパーカンパニーの法人口座を作ろうとする犯罪者が多いからです。
代表者の身分証明書も、必要書類のうちに入ります。
実印や印鑑証明書と同様、身分証明書も代表者が実在する人物であることを証明する手段だからです。
また、代表者が反社会勢力と関わりのあるような問題ある人物でないことを確認する意味でも、身分証明書は必要となります。
上記の書類以外にも、金融機関によっては以下のような書類が必要になることがあります。
具体的なことは、その都度、法人口座を作ろうとしている銀行に問い合わせて確認しましょう。
メガバンクでの法人口座開設を検討する方は、下記の記事も合わせてご覧ください。
法人口座の存在意義や、口座を作るメリット、審査に通るための対策などについて解説しました。
記事中で触れた通り、法人口座を作ることには社会的信用を得るなどのメリットがいくつかあります。一方で審査が必要となるため、ある程度の手間がかかることも否定できません。
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