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インボイス制度で運送業はどう変わる?免税・課税の判断、対応ポイントまで徹底解説

2025
11/30
インボイス制度で運送業はどう変わる?免税・課税の判断、対応ポイントまで徹底解説
2025年11月30日
インボイス制度で運送業はどう変わる?免税・課税の判断、対応ポイントまで徹底解説

2023年のインボイス制度開始以降、運送業では「免税事業者だと取引継続が難しい」「元請から登録を求められた」「軽貨物ドライバーはどう対応すべき?」など、多くの相談が増えています。

本記事では、運送業におけるインボイス制度の影響、必要な対応、免税事業者が気をつける点などを分かりやすく解説します。

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運送業にインボイス制度が必要となる理由

元請(荷主・運送会社)が仕入税額控除を必要とするため

運送業の多くは、

・元請(運送会社)

・下請(軽貨物ドライバーなど)

の構造で成り立っています。元請は仕入税額控除を使うため、「インボイスがない=控除ができない」という状況になります。

そのため、元請側が下請に対してインボイス登録を強く求めるケースが増えています。

免税事業者(個人ドライバー)は値引き圧力がかかる可能性

免税事業者と取引を続けると元請が控除できない税額分を負担することになるため、

「取引継続はするが〇%値引きしてほしい」

「登録しない場合は仕事を回せない」

といったケースも実務上多発しています。

インボイス制度で「必要な人」「不要な人」運送業ごとの考え方

インボイス登録が必要になりやすいケース

・軽貨物ドライバー

・宅配委託ドライバー(EC物流)

・元請からの荷仕事が多い個人事業主

・ルート配送、専属便など継続受注が多い事業者

これらは元請の仕入控除に直結するため、登録しないと取引に影響が出る可能性が高いです。

インボイス登録が不要なケース

・個人向けの引越専業

・自社のEC配送(元請が自分)

・免税の範囲に収まっており外部委託が少ない個人業者

企業からの取引が少ない場合、インボイスの必要性は低くなります。

運送業がインボイス登録を判断するポイント

取引先(元請)からの依頼があるか

運送業では元請の意向が強く、「インボイス登録していない下請には今後依頼できない」という通知が増えています。

まずは元請各社に以下を確認しましょう。

・登録必須か

・値引き調整があるか

・登録期限の指定があるか

売上規模と経費割合から判断する

課税事業者になると「売上に対して消費税を納める」必要がありますが、運送業は

・燃料代

・車両費

・整備費

・高速代

など経費が多いため、実際には「課税事業者になっても納税額は少ない」こともあります。

ケースによっては課税事業者になった方が得な場合もあります。

設備投資の予定がある場合は登録がお得

・トラック購入

・車両更新

・リース導入

・倉庫設備の導入

など、高額資産を購入予定の場合は、仕入税額控除を使えるため登録した方が負担軽減につながるケースもあります。

運送業が行うべきインボイス実務

請求書の記載内容の見直し

インボイス制度後の請求書には

・登録番号

・適用税率

・消費税額

・取引内容

を明確に記載する必要があります。軽貨物ドライバーでも必須事項は同じです。

電子帳簿保存法への同時対応

2024年から電子取引データは電子保存が義務化され、紙での保存だけでは認められなくなりました。

運送業でも元請からの請求書や支払明細がPDFやメール添付で届くケースが急増しており、従来の紙中心の管理方法のままでは法令に対応できなくなっています。

特に運送業は取引先が多く、毎月多くの取引データが発生しやすいため、電子保存のルールを整えておかないと、後から膨大な量のデータを整理し直す必要が生じる可能性があります。

ファイルの保存場所、命名ルール、検索しやすいフォルダ構成など、最初に仕組みを整えておくことが重要です。

レシートや経費の管理が重要に

課税事業者になると仕入税額控除を正しく受けるために、経費の領収書管理がこれまで以上に重要になります。

運送業はガソリン代、オイル交換、タイヤ交換、定期整備、高速代、車両消耗品など日々の経費が非常に多く、領収書の紛失や管理漏れがあると控除が受けられず、結果的に納税額が増えてしまいます。

領収書を撮影して保存できるアプリやクラウド会計ソフトを活用すると、スマートフォンからその場で記録でき、紛失のリスクが減ります。

車両ごとにフォルダを分ける、月ごとに整理するなど、自分の働き方に合わせた管理方法を作っておくと、後の作業が大幅に楽になります。

運送業のインボイスに関するよくある質問

免税事業者のままでも仕事は続けられる?

取引先の方針によって続けられる場合と、インボイス登録が前提となる場合があります。

特に、大手宅配会社や物流企業では、仕入税額控除が使えない取引を避けたいとして、免税事業者との契約条件を見直すケースが増えています。

続けられたとしても、控除できない税額分を理由に報酬単価の引き下げを求められることがあり、長期的には不利になる可能性があります。今後の仕事量や取引の安定性も踏まえて検討することが大切です。

インボイス登録で損をするケースは?

売上が小さく、経費がほとんどかからない軽貨物ドライバーの場合、課税事業者になると納税額が増える場合があります。

特に、自家用車で小規模に配送を行っていて燃料費や整備費があまり発生しないケースは注意が必要です。

一方で、ガソリン代が高い時期や車両整備が多い時期は仕入税額控除をしっかり受けられるため、損得は年ごと・車両ごとに変わることがあります。

年間の経費割合と今後の見通しを基に判断することがポイントです。

軽貨物ドライバーは必ず登録すべき?

必須ではありませんが、委託元からの要請が強い場合や、継続的に法人から仕事を受ける場合は登録しておいた方が取引がスムーズに進むことが多いです。

逆に、個人向けの配送が中心で企業との取引がほとんどない場合は、免税事業者のままでも影響が少ないケースもあります。

判断する際は以下の4項目を総合的に見て考えることが重要です。

・委託元の意向

・売上規模

・経費割合

・今後の仕事量、取引の継続性

状況に応じて毎年見直しを行うことで、より適切な判断ができるようになります。

運送業のインボイス対応で迷ったら千代田税理士法人へ相談を

運送業は元請と下請の関係が強く、インボイス制度の影響を大きく受ける業種です。売上規模や取引形態によって最適な対応が異なるため、個別に状況を確認しながら判断することが大切です。

課税事業者への変更や請求書の見直し、電子帳簿保存法対応に不安がある場合は、専門家へ相談することでスムーズに制度対応が進められます。

インボイス制度への対応は、取引関係や事業規模によって最適な方法が大きく変わります。また、日々の経費管理や請求書の取り扱いなど、実務面で不安を感じる方も多いのが実情です。

インボイス制度や経費管理でお困りのことがありましたら、まずは無料相談できる千代田税理士法人へお気軽にお問合せください。

市邉 隆志

このコラムを監修した税理士

市邉 隆志


千代田税理士法人代表。 会計税務は専門分野としてもちろんのこと、多種多様なご相談に応えていくためには、所員に長く勤めてもらい、教育と経験を積み重ねて行く事が常に必要とされます。 私たちはお客様にとっての日本一の会計事務所になるために、離職率ゼロを目標ともしています。 当社に安心して任せてください。 お客様にとっての日本一のサービスを提供し続けていきます。

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