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個人事業主の消費税はいつから払う?インボイス・免税・法人成りまで税理士が解説

2026
06/28
個人事業主の消費税はいつから払う?インボイス・免税・法人成りまで税理士が解説
2026年06月28日
個人事業主の消費税はいつから払う?インボイス・免税・法人成りまで税理士が解説

個人事業主にとって、消費税の扱いはこの数年で大きく変わりました。インボイス制度が2023年10月にスタートし、それまで消費税の納税義務がなかった免税事業者も、取引先との関係から課税事業者を選ぶケースが増えています。

一方で、消費税の納税が始まると手元に残る利益は確実に減ります。だからこそ、自分が今どの立場にいるのか、いつから消費税を払う必要があるのか、そして納税負担を抑える選択肢があるのかを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、個人事業主の消費税の仕組み、インボイス制度との関係、そして法人成りによる免税期間の活用までを実務目線で解説します。

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個人事業主の消費税の基本

まずは消費税という税金の構造から押さえておきます。普段は意識せずに払っている税金ですが、事業者側の視点で見ると仕組みが少し複雑です。

消費税は誰が払う税金か

消費税は、商品やサービスを買った最終消費者が負担する税金です。ただし、税務署に納付する義務を負っているのは消費者ではなく事業者の側です。

事業者は売上のときに消費者から預かった消費税から、自分が仕入や経費で支払った消費税を差し引いた差額を、年に1回まとめて税務署に納めます。この預かって納める仕組みが、消費税の基本構造です。

つまり、個人事業主にとって消費税は、自分の財布から出すお金ではなく、お客様から預かったお金を一時的に管理して後でまとめて納めるという性質の税金です。

課税事業者と免税事業者の違い

すべての個人事業主に消費税の納税義務があるわけではありません。一定の条件を満たす事業者だけが「課税事業者」として消費税を納める義務を負い、それ以外は「免税事業者」として消費税の納税が免除されます。

免税事業者は、お客様から消費税を預かっていても、それを税務署に納める必要がありません。預かった分は売上の一部として手元に残せる構造になっており、これが免税事業者にとっての実質的なメリットです。

ただしインボイス制度の開始以降、免税事業者であることが取引上のデメリットになるケースも増えています。この点は後ほど詳しく説明します。

消費税の計算方法は2種類

課税事業者が消費税を計算する方法には、本則課税と簡易課税の2種類があります。

本則課税は、売上のときに預かった消費税から、仕入や経費で支払った消費税を1件ずつ集計して差し引く方法です。原則的な計算方法であり、実態に即した正確な納税額を算出できます。

簡易課税は、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を使って消費税を概算する方法です。経費の集計が簡単になる一方、実際の仕入額より少なく見積もられるケースもあるため、業種によっては本則課税のほうが有利になります。簡易課税を選択できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。

消費税の納税義務が発生するタイミング

個人事業主が消費税の納税義務を負うのは、どんな状況になったときなのか。判定の基準を整理しておきます。

基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたとき

最も基本的な判定基準が、基準期間の課税売上高です。基準期間とは、個人事業主の場合は2年前の1月1日から12月31日までの期間を指します。

この基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は自動的に課税事業者となり、消費税の納税義務が発生します。たとえば2024年の課税売上高が1,200万円だった個人事業主は、2年後の2026年から課税事業者として消費税を納める必要があります。

開業から2年以内は基準期間そのものが存在しないため、原則として免税事業者となります。これが「開業から2年は消費税がかからない」と言われる根拠です。

特定期間の課税売上高が1,000万円を超えたとき

基準期間の判定だけだと、急成長した事業者は2年遅れで課税義務が発生することになります。この時間差を埋めるための仕組みが、特定期間の判定です。

特定期間とは、個人事業主の場合は前年の1月1日から6月30日までの半年間です。この特定期間の課税売上高が1,000万円を超え、かつ給与等支払額も1,000万円を超えた場合は、翌年から課税事業者になります。

つまり、基準期間と特定期間のどちらかで条件に該当すれば、課税事業者として扱われるということです。

開業から納税義務発生までの流れ

整理すると、個人事業主の消費税の納税義務は次のような流れで発生します。

開業1年目と2年目は、基準期間が存在しないため原則免税事業者です。ただし、1年目の上半期の課税売上が1,000万円を超え、給与等支払額も1,000万円を超えた場合は、2年目から課税事業者になります。

開業3年目以降は、2年前の課税売上高で判定されます。1年目の課税売上が1,000万円を超えていれば、3年目から課税事業者です。

なお、この仕組みはインボイス制度に登録していない場合の話です。インボイス登録をすると、売上規模に関係なく課税事業者になります。

インボイス制度で個人事業主の消費税はどう変わったか

2023年10月に始まったインボイス制度は、個人事業主の消費税の状況を大きく変えました。免税事業者でいるか、課税事業者として登録するかの判断が、事業の取引関係に直結するようになっています。

インボイス制度の概要

インボイス制度は、正式名称を「適格請求書等保存方式」といいます。事業者間取引で消費税の仕入税額控除を受けるには、決められた要件を満たした請求書、つまりインボイスの保存が必要になる制度です。

インボイスを発行できるのは、税務署に登録した「適格請求書発行事業者」だけです。この登録ができるのは課税事業者に限られるため、免税事業者はインボイスを発行できません。

取引先がインボイスをもらえないと、その取引先は仕入税額控除を受けられず、自社の消費税負担が増えてしまいます。これが、免税事業者との取引を見直す動きにつながっています。

免税事業者のままだと取引で不利になるケース

特に影響を受けやすいのが、法人や課税事業者の取引先を持つ個人事業主です。

たとえば、企業から仕事を請け負っているフリーランスのデザイナーが免税事業者のままだと、発注元の企業は仕入税額控除を受けられません。発注元としては、同じ条件なら課税事業者に発注したいと考えるため、取引価格の引き下げ交渉を持ちかけられたり、契約の見直しを迫られたりするケースが出ています。

経過措置として、インボイス制度開始から一定期間は免税事業者からの仕入についても部分的に控除が認められていますが、控除割合は段階的に縮小されていきます。長期的には、課税事業者でないと取引から外されるリスクが高まる構造です。

一方、相手が一般消費者中心の事業者であれば影響は限定的です。お客様が個人で、領収書を税務処理に使わない業種であれば、免税事業者のままでも取引上の不利は発生しにくくなります。

課税事業者を選択した場合の負担

免税事業者がインボイス登録のために課税事業者を選択すると、これまで納めていなかった消費税を税務署に納める必要が出てきます。

売上1,000万円規模の個人事業主の場合、業種にもよりますが、年間で数十万円から100万円超の消費税負担が新たに発生します。手元に残る利益が確実に減るため、課税事業者を選ぶかどうかの判断は慎重に行う必要があります。

課税事業者になったときの消費税の納税負担

課税事業者になっても、計算方法の選び方や経過措置の活用次第で、納税額は大きく変わります。

本則課税と簡易課税の選択

先ほど触れた本則課税と簡易課税は、業種や経費構造によって有利不利が変わります。

仕入や外注費が売上に対して大きい卸売業や小売業は、本則課税のほうが控除額が大きくなりやすく、納税額を抑えられます。一方、人件費や家賃が中心で仕入が少ないサービス業の場合、簡易課税のほうが納税額を抑えられるケースが多くなります。

簡易課税を選択するには、適用したい課税期間の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります。一度選択すると原則2年間は変更できないため、業種の特性を踏まえて慎重に判断してください。

2割特例の活用

インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった個人事業主には、「2割特例」という負担軽減措置が設けられています。

2割特例とは、売上にかかる消費税の2割だけを納税すればよいという仕組みです。本則課税や簡易課税の計算とは別枠で選択でき、業種を問わず使えます。

たとえば年間売上700万円の個人事業主が2割特例を使う場合、納税額は売上にかかる消費税70万円の2割で14万円となります。本則課税で計算するよりも大幅に負担が軽くなるケースが多く、対象となる個人事業主にとっては積極的に活用したい制度です。

ただし、2割特例には適用期限があります。2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する課税期間が対象で、それ以降は本則課税か簡易課税のどちらかを選ぶことになります。

申告と納付のスケジュール

個人事業主の消費税の確定申告期限は、原則として翌年の3月31日です。所得税の申告期限である3月15日とは別の期日になっているので注意してください。

納付方法は、税務署の窓口、金融機関、ダイレクト納付、振替納税、クレジットカード納付など複数あります。預かった消費税は事業の運転資金と混ざりやすいため、納付月にまとまった資金が必要になることを見越して、毎月一定額を別口座に分けておく管理方法を取る個人事業主も多くいます。

消費税の負担を抑える選択肢としての法人成り

ここまで個人事業主としての消費税の話を整理してきましたが、もう一つ大きな選択肢があります。それが法人成りです。

法人成りで最大2年間の免税期間を作れる仕組み

個人事業主が法人を設立して事業を引き継ぐ法人成りをすると、新設した法人で最大2年間の消費税免税期間を確保できるケースがあります。

これは、法人の課税事業者判定が、個人事業主時代の売上と切り離されて行われるためです。新設法人は基準期間そのものが存在しないため、原則として設立1期目と2期目は免税事業者となります。

たとえば、個人事業主として課税売上1,500万円を上げていた人が、その状態のまま法人成りした場合、法人の1期目と2期目は売上規模が同じでも消費税の納税義務が発生しません。

個人事業主の課税売上が法人にリセットされる理由

なぜこの仕組みが成り立つかというと、税法上「個人事業主」「法人」はまったく別の人格として扱われるからです。同じ事業を続けていても、事業主体が個人から法人に変わると、消費税の判定はリセットされます。

これは税制上正式に認められている扱いです。個人事業主の売上規模が大きくなり、課税事業者として消費税を納める段階に差し掛かったタイミングで法人成りすることで、合法的に2年間の免税期間を作り出せる構造になっています。

法人成りで免税期間を活かすための条件

ただし、法人成りをした全ての法人が2年間の免税を受けられるわけではありません。いくつかの条件があります。

まず、インボイス登録をすると新設法人であっても課税事業者になります。取引先との関係でインボイス発行が必要な場合は、免税期間を享受できません。免税期間を最大化したい場合は、インボイス登録のタイミングを戦略的に判断する必要があります。

また、設立1期目の上半期の課税売上高と給与等支払額がいずれも1,000万円を超えると、2期目から課税事業者になります。短期間で売上が急拡大する見込みがある場合は、この条件も意識しておくべきです。

資本金と特定新規設立法人の判定に注意

法人成りで免税期間を確保するには、資本金にも気をつける必要があります。

資本金が1,000万円以上で設立された法人は、設立初年度から課税事業者となります。法人成りで免税期間を活用したい場合は、資本金を1,000万円未満に設定するのが基本です。

さらに、大規模な親会社や関連会社がある場合、「特定新規設立法人」として初年度から課税事業者になるケースもあります。グループで事業をしている方は、この判定にも注意してください。

法人成りを検討するタイミングと判断材料

法人成りは免税期間の確保だけが目的ではないため、売上規模以外の要素も含めて判断する必要があります。

売上規模だけでなく所得・将来計画で判断する

法人成りを検討する際は、消費税の免税メリットだけでなく、所得税と法人税の税率差、社会保険料の負担、法人維持コスト、将来の事業計画までを含めて総合的に判断する必要があります。

消費税の納税義務が見えてきたタイミングは、法人成りを検討する一つのきっかけにはなります。ただし、消費税だけを理由に法人成りを決めると、社会保険料の負担増などで結果的にトータルの手取りが減るケースもあるため要注意です。

法人化のタイミングは年収シミュレーションで見極める

法人成りに最適なタイミングは、年収・所得・経費構造・家族構成によって人それぞれ変わります。一律の正解はないため、自分のケースに当てはめたシミュレーションが欠かせません。

年収別に法人化したほうが有利になるラインや、シミュレーションの考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。

法人化のベストタイミングは?年収別シミュレーションで判断基準をわかりやすく解説

個人事業主の消費税でお悩みなら千代田税理士法人へ

消費税は、計算方法の選択、インボイス登録の判断、法人成りのタイミングなど、判断ポイントが多い税金です。選択を一つ間違えるだけで、年間で数十万円単位の差が生まれることもあります。

千代田税理士法人では、個人事業主の方の消費税の申告・計算方法の選定から、インボイス対応、そして法人成りのご相談まで対応しています。創業60年を超える歴史の中で積み重ねてきた実務経験をもとに、お客様の状況に合わせた最適な提案をいたします。

初回相談は無料で対応していますので、消費税やインボイス、法人成りについてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

市邉 隆志

このコラムを監修した税理士

市邉 隆志


千代田税理士法人代表。 会計税務は専門分野としてもちろんのこと、多種多様なご相談に応えていくためには、所員に長く勤めてもらい、教育と経験を積み重ねて行く事が常に必要とされます。 私たちはお客様にとっての日本一の会計事務所になるために、離職率ゼロを目標ともしています。 当社に安心して任せてください。 お客様にとっての日本一のサービスを提供し続けていきます。

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