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会社の形態の1つとして、合同会社があります。出資したすべての人が社員であり、経営権を持つ点が特徴です。株式会社と比べると、より民主的な経営をめざしているといえます。
しかし完全に全員が同じ立場ではなく、代表社員というものを選出することができます。会社を代表して、外部との取引に関する契約などを締結する権限を持つ人物です。
会社を代表する立場としてよく知られているのは、株式会社における代表取締役でしょう。代表社員は代表取締役とどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、代表社員の具体的な情報をわかりやすく解説します。
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目次
合同会社は、出資額に関わらず、社員全員が平等に意思決定をおこなえる会社形態です。株式会社にたとえるなら、社員全員が役員であるのと同じような状態です。
つまり合同会社においては、経営権と所有権が一致しています。社員全員が経営に参加し、共同で会社を運営することが可能です。この特徴から、関係者全員が協力して成長を目指すことが期待されます。
また合同会社は、社員が経営権を持つため、経営戦略の決定において、社員全員の意見を採り入れられます。役員を選出する際には、社員全員の意見を反映した結果になるため、経営陣も社員に近い意見を持つことが可能です。
社員が自分たちで経営をおこなえるため、自分の意思を経営判断に反映させられる機会も多いといえるでしょう。
合同会社については下記の記事で詳しく解説しております。合わせてご確認ください。
合同会社の代表社員は、社員全員の代表的な存在であり、会社を代表する立場にあります。代表社員はほかの社員とは異なる「代表権」を有します。代表権とは、会社を代表して法律行為をおこなえる権限のことです。
代表社員は、会社の業務に関するあらゆる決定をおこなう責任があります。たとえば、製品やサービスの開発・販売・マーケティング・財務・人事・法務・管理などが含まれます。これらの責任は、会社の成長と発展にとって極めて重要です。
社員全員とのコミュニケーションを円滑におこない、会社の目的やビジョンに沿って、戦略的な計画を作成する役割もあります。また、業務執行役員や社員に対して、指示を出したり、指導したりすることも重要な役割の1つです。このように、代表社員は会社の運営において中心的な役割を果たしています。
また、会社を法的に代表する立場にあります。社外からの取引や契約、訴訟などにおいて、会社を代表して行動しなければいけません。そのため代表社員には法的な知識や経験が必要となります。
合同会社の代表社員と株式会社の代表取締役は、権限や責任という意味ではほぼ同じような存在です。どちらも社員を代表して決定権を持つ役職となっています。
社員同士で意見が激しく異なるような事態になったとき、無用な混乱を避けるために、決定権を持つ人物が必要となります。合同会社も株式会社も、この必要性に違いはありません。
ただし合同会社の代表社員は、社員全員が平等に意思決定をおこなえる会社で選ばれる代表者です。
一方の株式会社の代表取締役は、一般の従業員など経営に関する意思決定を持たない者もいる会社で取締役のなかから選ばれる代表者です。
合同会社には業務執行社員という役職もあります。業務執行役員は、株式会社における取締役に相当する役職だと考えておくとわかりやすいでしょう。
合同会社は社員全員が平等に意思決定をおこなえる組織ですが、なかには出資はしたけれども業務をしたくない人もいます。そのような場合に、業務を執行する社員を業務執行社員と定義することが可能です。業務執行社員を定めると、それ以外の社員は業務の執行権を持たなくなります。
代表社員と業務執行役員は、会社の運営において密接な関係を持っています。代表社員は、業務執行役員が会社の業務を円滑に進めるためのサポートをおこなわなくてはいけません。
また業務執行役員は、代表社員の指示の下で業務をおこない、会社の目的やビジョンに沿って、効果的な戦略を立てる必要があります。
合同会社の代表社員の肩書きは、基本的に自由に決められます。そのまま代表社員でも構いません。「代表」「共同代表」「最高経営責任者」「CEO」などと名乗っても問題ありません。ただし定款でしっかり規定しておく必要があります。
別名は、社外や取引先などに対してほかの肩書きが重要になる場合に、任意で定めることになります。しかしあくまでも別名に過ぎず、CEOなどと法的な違いはありません。
一方、株式会社の代表取締役という肩書きは、株式会社において必ず使うよう会社法で定められています。世間ではよく「社長」という言葉が使われますが、これはあくまでも俗称であり、正式に名乗るものではないことに注意してください。
法律上は、合同会社にも代表取締役を設置できます。定款に記載すれば、取締役や代表取締役を役職として置けるようになります。この場合、代表取締役の肩書きは正当なものとなるので、当然ながら使って問題ありません。
合同会社の代表社員を変更する際の手続きは、以下のようなものとなります。
上記のプロセスは会社法に規定されたものであり、必ず踏まえる必要があるので、以下の解説を読んでしっかり覚えておきましょう。
代表社員を変更するためには、合同会社の定款を変更する必要があります。定款は会社における憲法のようなものであり、目的・役員・投資・利益分配などの重要な項目が含まれています。
変更を決定した場合、同時にほかの項目を見直すことも可能です。いずれにせよ定款を変更するには、社員全員の同意が必要となります。
定款の変更が承認されたら、法務局に変更登記を申請する必要があります。登記が完了すると、代表社員の変更が法的に成立します。変更登記には、定款のコピー、代表者の印鑑証明書、代表者の住所と氏名などが必要です。
登録免許税法に基づいた手数料が必要となることにも注意してください。また司法書士に登記を依頼する場合には、報酬も見積もる必要があります。
自然人だけではなく、法人も合同会社の代表社員になれます。その場合に特別な決議などは必要ありません。定款の定めにもとづく社員の互選によって、業務を執行する社員のなかから代表社員を決定すると会社法に記載されており、自然人でも法人でも変わりはありません。
ただし法人が代表社員になる場合には、自然人の場合には必要なかった書類がいくつか必要になります。この点にだけ注意が必要です。
法人が合同会社の代表社員になる場合、必要な書類として以下のようなものが挙げられます。
登記事項証明書は、その法人が本当に実在するのかを証明するものとして必要になります。
職務執行者の選任に関する書面は、株式会社の場合は「取締役会議事録」か「株主総会議事録」、合同会社の場合は「社員を選任したことを証明する書面」となります。
職務執行者の就任承諾書は、法人を代表して職務をおこなう人物がたしかにその立場を受け入れたことを証明するものとして必要です。
合同会社における代表社員について、株式会社の代表取締役との違いなどを中心に解説しました。
合同会社は社員全員が経営権を持ち、平等に意思決定をおこなう点が特徴です。代表社員は、社員全員の代表として決定権を持つ役割を担っています。その点は株式会社の代表取締役とほぼ同じであるといえるでしょう。
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