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キャッシュフロー計算書の5パターン別の分析方法・見方・作成方法を紹介

2024
02/08
キャッシュフロー計算書の5パターン別の分析方法・見方・作成方法を紹介
2024年02月08日
キャッシュフロー計算書の5パターン別の分析方法・見方・作成方法を紹介

利益がでているのに、会社の資金が少ないと感じていないでしょうか。しかし、貸借対照表や損益計算書をみても原因が分からず「今の経営のままでいいのか」「資金がショートしないか」と、不安に感じる経営者は珍しくありません。

財務状況が健全かどうか知るためには、入ってきた資金と出ていった資金の流れが分かる、キャッシュフロー計算書が有効です。キャッシュフロー計算書を分析すると、資金繰りの改善や黒字倒産の回避に繋がります。

そこで今回は、キャッシュフロー計算書の分析方法や見方を解説します。

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キャッシュフロー計算書とは

キャッシュフロー計算書とは、資金の流れが分かる財務諸表です。入ってきた資金から、出ていった資金の流れを把握できます。略して「C/F」とも呼ばれています。

財務諸表といえば貸借対照表と損益計算書を想像しますが、キャッシュフロー計算書も財務諸表です。しかし、中小企業にはキャッシュフロー計算書の作成義務がなく、存在を知らない中小企業の経営者は珍しくありません。

とはいえ、財務状況を把握するため、キャッシュフロー計算書を作成した方が良いでしょう。作成前には、把握できていなかったお金の流れをきちんと管理できるようになります。

キャッシュフロー分析の目的

キャッシュフロー分析の主な目的は、企業の課題や問題点を確認し、解決に向けた対策の検討です。

例えば、家計簿から給料の収入や毎月の家賃などの支出に、課題や問題点がないか確認するイメージです。商品の現金収入や仕入の現金支出などを計算して、課題や問題点を把握します。

キャッシュフロー計算書と混同されやすいのが資金繰り表です。資金繰り表は、将来のお金の流れを予測するのに利用されます。

例えば「4月の売上1,000万円は2ヶ月後の6月に入金予定だが、4月の仕入600万円は3ヶ月後の7月に支払予定」などを、表としてまとめます。資金繰り表を作成すると、資金が足りなくなるタイミングを見極めることに役立ちます。

しかし、キャッシュフロー計算書のように資金の流れから、企業の課題や問題点の把握は難しいです。

損益計算書で計算された、利益=増加した現預金ではありません。損益計算書は、発生したタイミングで収入と費用が計算されます。現実の収入や支出と損益にはズレが生じます。つまり、貸借対照表と損益計算書だけでは、会社の資金がどれだけ増えたか分かりません。

一方、キャッシュフロー計算書は損益と収支のズレを修正し、現預金の増減がいくらあったか把握できます。

キャッシュフロー分析のメリット

キャッシュフロー分析のメリットは、主に3つ考えられます。

  • 資金ショートの防止
  • 売掛金の早期回収
  • 資金調達の円滑化

資金ショートの防止

キャッシュフロー分析は、資金ショートの防止に効果的です。資金ショートの防止が期待できるのは、利益と手元現金のズレを把握できるからです。

会社を経営するうえで、利益と手元現金のズレは防ぎようがありません。しかし、ズレを把握できないままでは、資金ショートとなる恐れがあります。

例えば大きな取引を掛けで販売した場合、商品代金の回収には時間がかかります。商品代金が未収のままでは、仕入代金や従業員の給料の支払いなどが滞る恐れがあります。

キャッシュフロー分析を活用して、早期にズレの原因を把握すると資金ショートの防止に繋がります。

売掛金の早期回収

資金が不足する原因の1つは、売掛金の回収が長期化していることです。会社の利益を出すことは大切ですが、それ以上に大事なのが売掛金の早期回収です。

売掛金が早期回収できないと会社は資金繰りが苦しくなり、黒字倒産する恐れがあります。

特に大口の取引が決まったり企業の成長とともに取引先の数が増えると、売掛金の回収が長期化する恐れがあります。売掛金の回収が長期化すると、取引先が倒産し貸倒になるリスクも高まります。

キャッシュフロー分析を活用して、売掛金の早期回収や入金サイクル短縮の交渉をしましょう。

資金調達の円滑化

常に資金繰りが厳しいと借入金の返済が滞るリスクが高まり、金融機関からの資金調達が難しくなります。

しかし、キャッシュフロー分析で資金繰りが改善されれば、金融機関からの資金調達が円滑になるでしょう。

キャッシュフロー計算書の見方

キャッシュフロー計算書の要素と構造は以下の3つに区分されています。

営業活動のキャッシュフロー売上や仕入、経費の現金支払など、会社の本業でいくら稼いだか分かる
投資活動のキャッシュフロー固定資産の取得や有価証券の取得など、設備投資にいくら使ったか投資でいくら回収したか分かる
財務活動のキャッシュフロー金融機関からの借入や返済など、いくら借入をしたか返済したか分かる

また、会社が自由に使えるキャッシュを意味するフリーキャッシュフローに分けて、資金の流れを把握します。

営業活動のキャッシュフロー

営業活動のキャッシュフローは商品の仕入や販売など、企業が本業の取引によって生じた、資金の増減を示すものです。「本業で手元の現預金が増えているか減っているか」が分かります。具体的には以下です。

  • 商品販売やサービス提供による現金の収入
  • 商品などの仕入による現金支出
  • 経費のうち現金による支出
  • 人件費の現金支出
  • 利息や配当金の受取り
  • 利息や法人税等の支払い

売上の回収や商品の仕入、経費の支払など、営業活動に関わる項目が含まれており、企業の健全性や状況を理解するのに有効です。

営業活動のキャッシュフローは、あくまで本業による儲けなのでプラスが基本です。プラスの場合は、企業の取引による支払いが、企業の取引で受け取った現預金で補われている状態です。

しかし、マイナスになることもあります。企業の取引による現金の支出が、商売の現金収入ではまかなえていない状態です。この状況が続くと資金繰りが苦しくなり、金融機関や株主から財源の確保が必要になります。

マイナスの場合は、売掛金が回収できていないなどの問題を抱えている恐れがあるので注意しましょう。

投資活動のキャッシュフロー

投資活動のキャッシュフローは、固定資産や有価証券などの取得や売却によって生じた、資金の増減を示すものです。「設備投資にいくら使ったか、投資によってどのくらい回収できたか」が分かります。具体的には以下です。

プラス項目

  • 有価証券の売却
  • 固定資産の売却

マイナス項目

  • 有価証券の購入
  • 固定資産の購入

建物や機械の新規設備の購入などで計算され、基本的にはマイナスになります。企業が成長するには設備投資が必要なため、どうしてもマイナスになってしまいます。将来に向けて、積極的に投資活動を行っている状態とも言えます。

また、増減だけでなく、内訳を含めて確認する必要があります。増減理由が「設備投資によるものなのか、投資によるものなのか」の分析が大切です。

例えば、金銭の貸し付けや有価証券の取得などでマイナスになる場合です。資金が回収できないと大きな損失となり本業に影響する恐れがあります。将来確実に回収可能か、見極めが大切です。

財務活動のキャッシュフロー

財務活動のキャッシュフローは「いくら資金調達したか、どのくらい返済したか」が分かります。具体的には以下です。

プラス項目

  • 借入金の増加
  • 資本金の増加

マイナス項目

  • 借入金の返済
  • 配当金の支払い

上記のように、資金調達や返済のバランスが把握できます。プラスの場合は、資金調達が積極的におこなわれていると判断できます。資金調達の理由が、新規事業や設備投資であればそれほど問題ないでしょう。

しかし、財務活動のキャッシュフローがプラスでありながら営業活動のキャッシュフローがマイナスの場合は注意が必要です。損失を埋めるために資金調達をおこなった恐れがあります。資金が不足している原因を確認しましょう。

フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローは、企業の取引で稼いだ利益から投資活動を引いた後の自由に使える資金を示しています。計算式は複数存在し、代表的な計算式は以下です。

フリーキャッシュフロー = 
営業活動によるキャッシュフロー - 投資活動によるキャッシュフロー

フリーキャッシュフローが多いほど、会社の資金が潤沢なことを示しています。土地や建物、機械などの高額な資産を購入する際は、金融機関から借入をすることが多いです。

会社の資金が潤沢であれば借入不要で、高額な資産の購入ができます。また、借入金の返済や株主への分配に利用でき、経営の安定に繋がります。

キャッシュフロー分析は、年単位で判断できないこともあります。例えば、多額の設備投資をすると、一時的にマイナスになるからです。

可能な限り、数年分のキャッシュフロー計算書から分析するといいでしょう。

キャッシュフロー計算書の作成方法

キャッシュフロー計算書は基本的に、前期及び当期の貸借対照表、当期の損益計算書があれば作成できます。3つの要素のうち、営業活動のキャッシュフローの作成方法は、直接法と間接法の2種類あります。どちらの方法で作成しても、最終的な数値は一致します。

直接法

直接法は資金の流れを商品の販売や仕入など、主要な項目ごとを総額でまとめて作成します。具体的には以下です。

  • 商品の販売による収入
  • 商品の仕入による支出
  • 給料の支払による支出

商品の販売による収入や商品の仕入による支出などの取引が総額で表示されるため、項目ごとの資金の流れを分析しやすいメリットがあります。しかし、取引ごとの集計には手間がかかります。

具体的には、商品の販売による収入は現金の売上、売掛金の現金回収、受取手形の現金回収のそれぞれを集計します。貸借対照表や損益計算書に加えて、総勘定元帳が必要になるでしょう。

そのため、間接法に比べて作成する時間が長くなります。

間接法

間接法は、損益計算書の税引前当期純利益から売掛金や買掛金の増減など、資金に関わるものをまとめて作成します。具体的には以下です。

プラス項目

  • 現金の売上
  • 売掛金を現金で回収
  • 棚卸資産の減少

マイナス項目

  • 現金の仕入
  • 買掛金を現金で支払
  • 売掛金の増加

間接法は、損益計算書から必要な項目を集計し、売掛金の回収や買掛金の支払など調整を行って作成する方法です。減価償却費や貸倒引当金繰入れなどの、実際にお金がでていない非資金損益項目は加算されます。

直接法と比べて手間がかからないメリットがあり、多くの企業で採用されている方法です。しかし、商品の販売による収入はいくらか仕入による支出はいくらかなど、内容ごとの資金の流れが分かりません。

【パターン別】キャッシュフロー計算書の分析方法

キャッシュフロー計算書は上記で説明した3つの区分を見ることで、企業の状況分析が可能です。

ここではよくある以下5つのパターンを紹介します。

  • 経営が安定している
  • 成長段階にいる
  • 経営がうまくいってない
  • 経営が窮地に陥っている
  • 事業を再構築している

①経営が安定している

経営が安定しているパターンは以下です。

営業活動のC/F
投資活動のC/F
財務活動のC/F

上記のパターンは、本業の取引で十分な資金を生み出していると推測されます。また機械や車両などの固定資産、有価証券の購入といった将来の投資に回していることが分かります。

さらに本業で得た資金で、投資を行っても余裕がある状態です。借入金の返済や株主へ還元され、経営が安定している理想的な状況と考えられます。

②成長段階にいる

成長段階にいるパターンは以下です。

営業活動のC/F
投資活動のC/F
財務活動のC/F

企業は成長段階になるとサービスの向上や売上を拡大するために、土地や不動産、機械などの購入をおこなうことがあります。

上記のパターンは、本業の活動で資金がプラスになっています。また借入などの資金調達による財務活動もプラスです。本業で得た資金で不足する資金を財務活動で調達し、将来のための設備投資を行っている状況と考えられます。

③経営がうまくいってない

経営がうまくいってないパターンは以下です。

営業活動のC/F
投資活動のC/F
財務活動のC/F

上記のパターンは本業の取引で十分な資金が確保できていない状態です。一方、投資活動と財務活動のキャッシュフローはプラスです。

固定資産の売却と金融機関から借入し、本業で足りない資金を補っている経営がうまくいっていない状態と判断できます。

④経営が窮地に陥っている

経営が窮地に陥っているパターンは以下です。

営業活動のC/F
投資活動のC/F
財務活動のC/F

上記のパターンは本業の取引で十分な資金が確保できていない状態です。先ほどの、経営がうまくいってないパターンとは違い財務活動のキャッシュフローもマイナスです。本業の資金はマイナス、さらに借入金の返済に追われている状態が考えられます。

投資活動のキャッシュフローがプラスなのは、足りない資金を固定資産や有価証券の売却などで補っていると予測できます。経営が窮地に陥っており、経営改善が必要と分析可能です。

⑤事業を再構築している

事業を再構築しているパターンは以下です。

営業活動のC/F
投資活動のC/F
財務活動のC/F

企業が事業を再構築している場合、本業で得た資金以上に借入の返済が必要なことがあります。そのため、有価証券や固定資産などを売却し、足りない資金を補うことがあります。

上記のパターンは、営業活動のキャッシュフローがプラスで、本業はうまくいっていると推測できます。しかし、投資活動のキャッシュフローもプラスとなり、本業で得た資金では借入の返済ができず、足りない分を投資活動で補ったと分析できます。

資金繰りの悩みなども千代田税理士法人へ

税務に関する悩みだけではなく、この記事でご紹介したキャッシュフロー計算書の作成方法や資金繰りの悩みについても、千代田税理士法人へご相談ください。

「会社の財務状況を把握するために、キャッシュフロー計算書を作りたいけど、作り方が分からない。」そのようなお悩みを抱えている方は、ぜひ初回無料相談へご応募ください。

千代田税理士法人では、会社設立や税務顧問サービスだけでなく、創業融資や助成金・節税支援など、より包括的にサポートいたします。

中長期的に信頼して任せられるパートナーをお探しの方は、一度無料相談にご応募ください。

まとめ

キャッシュフロー計算書は、企業の事業年度に入ってきた資金から、出ていった資金の流れを把握でき「資金ショートの防止」「売掛金の早期回収」「資金調達の円滑化」に繋がります。

中小企業は、キャッシュフロー計算書の作成義務はありません。しかし、貸借対照表や損益計算書では分からない、利益と手元現金のズレを把握できます。

企業の課題や問題点を確認し、解決に向けた対策の検討に有効な財務諸表です。一度作成し、分析してみてはいかがでしょうか。

キャッシュフローに関するよくある質問

「キャッシュフロー計算書」と「貸借対照表」や「損益計算書」との違いは?

キャッシュフロー計算書とは、ある一定期間の資金の流れを示す財務諸表です。企業の一定期間の資金の流れを把握できます。

貸借対照表とは、ある時点での企業の財政状態を示す財務諸表です。現預金や売掛金などの資産、買掛金や借入金などの負債を確認できます。

損益計算書とは、ある一定期間の収益と費用の損益計算を示す財務諸表です。企業がどれだけ、利益や損失を出したか確認できます。

キャッシュフロー計算書をしなければならない対象者は?

キャッシュフロー計算書は上場企業などに作成義務があり、中小企業や個人事業主などは作成義務がありません。

しかし、作成義務がないからと言って、不要な資料ではありません。貸借対照表や損益計算書では分からない資金の流れが分かり、資金ショートの防止などに活用できます。資金繰りに悩んでいる人は、キャッシュフロー計算書の作成をおすすめします。

市邉 隆志

このコラムを監修した税理士

市邉 隆志


千代田税理士法人代表。 会計税務は専門分野としてもちろんのこと、多種多様なご相談に応えていくためには、所員に長く勤めてもらい、教育と経験を積み重ねて行く事が常に必要とされます。 私たちはお客様にとっての日本一の会計事務所になるために、離職率ゼロを目標ともしています。 当社に安心して任せてください。 お客様にとっての日本一のサービスを提供し続けていきます。

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