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税務調査は多くの起業家や個人事業主にとって、不安を感じる一大イベントといえるでしょう。税務当局とのやり取りは専門的な知識を要するため、どのように対応すればよいのか戸惑うことも少なくありません。
税理士に調査のサポートを依頼することで、不安を軽減し、適切な対応を図ることが可能となります。
本記事では、税務調査を税理士に頼む際のメリットやデメリット、注意点、そして税務調査の基本的な流れについて詳しく解説します。
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目次
税務調査とは、国や自治体が税務当局を通じて、納税者の税務状況を正確に把握するために実施する公的な調査活動のことです。
この調査は、税金の正確な取り立てを保証するためのものであり、納税者が法定通りに税金を計算し、適切に申告及び納付しているかを確認する主要な手段となっています。
税務調査は、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは任意調査であり、税務署職員が実施するもの。税務調査の大半が任意調査に該当し、一般的には事前の電話通知のあと、2日ほどかけて帳簿などが調べられます。
ちなみに任意調査という名前はついていますが、拒否をした場合には罰則を受けてしまうので注意が必要です。
もう1つは強制調査です。これは国税局査察部が実施するもので、裁判所の令状を持って事前連絡なく強制的におこなわれます。もちろんこちらも拒否することはできません。
強制調査は立件を目的とした犯罪捜査の一種であり、例えば巨額の脱税の疑いがある場合などにおこなわれます。個人事業主や中小企業には、基本的に縁のないものと考えておいて問題ないでしょう
国税庁が令和3年に発表した資料*1によると、法人を対象とした税務調査の実施数は、令和2事務年度で25,000件、令和3事務年度では41,000件となっています。
万単位の税務調査が年間におこなわれていると聞くと、非常に活発なように感じられます。しかし世間に事業者は無数に存在するのであり、税務調査の対象となるのはごく一部であることは、きちんと認識しておくべきでしょう。
税務調査はランダムに選ばれる場合もありますが、多くの場合は特定の疑義やリスクが存在すると判断された企業や個人が対象となります。以下が例です。
過去に税務調査を受けて不正が発覚した企業や個人は、それ以降も調査の対象となる確率が高まるといえるでしょう。
*1 参考:国税庁 令 和 3事 務 年 度 法 人 税 等 の調 査 事 績 の概 要
税務調査を税理士に頼むメリットとしては、主に以下の3つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
税務調査が始まる前に税理士に相談することで、必要な準備を的確におこなうことが可能です。税理士は過去の経験や知識を活かして、どのような書類やデータが必要か、どの部分を特に重点的に見るべきかをアドバイスしてくれます。
また税務調査に際しては、ときとして数年分の経理帳簿や関連書類を提出する必要があり、これらの整理や確認作業は非常に時間がかかる場合があります。しかし税理士のサポートを受けることで、必要な書類の準備や整理を効率的におこなうことができます。
つまり、税理士に依頼することでストレスや負担を大きく軽減できるといえます。
税務調査の際、税理士に立ち会ってもらうことは大きな安心材料です。
調査当日は、税務当局の担当者が直接事務所やオフィスを訪れ、経理帳簿や関連書類を精査します。これは納税者にとっては非常にプレッシャーを感じる時間です。
そのような状況下で、税理士が納税者の側に立ってサポートしてくれることは、納税者にとって心強いバックアップとなります。
税理士は税務当局の質問や疑問に対して、専門的な観点から的確に答えることができます。また誤解や不明点が生じた場合、税理士が適切に説明や補足をおこなうことで、スムーズに調査が進行するでしょう。
調査の進行中に何らかの問題や疑義が生じた場合も、税理士の介入によって適切な対応や解決が期待できます。
税務調査の結果、何らかの誤りや不備が指摘された場合、納税者は修正申告をおこなわなければいけません。修正申告は、謝って少なく申告した税金を正しく申告し直すための手続きであり、適切におこなわなければさらなる罰則のリスクがあります。
税理士のサポートを受けることで、修正申告の手続きを正確かつ迅速に進めることが可能です。
税理士は調査の結果をもとに、正確な税額の再計算や、必要な書類の作成をサポートします。修正申告の際には、税務当局への適切な説明や交渉が求められることもあり、これらの対応も税理士がおこなうことが期待できます。
罰則の軽減や免除を受けることが可能となる場合もあるため、プロフェッショナルである税理士のアドバイスやサポートを受けることは非常に重要です。
税務調査を税理士に依頼することには多くのメリットがありますが、デメリットがまったくないわけではありません。これはどのような物事においても共通することでしょう。
メリットとデメリットをあらかじめ両方ともきちんと把握したうえで、依頼すべきかどうか検討する姿勢が重要です。
税務調査に関する専門的なサポートを税理士に依頼するためには、対価として報酬を支払う必要があります。報酬は税理士によって、またサービス内容や範囲によって異なるため、具体的な費用を把握することが重要です。
一般的に税務調査のサポートに関する費用は、調査の内容や規模、税理士の経験や実績などによって変動します。したがって明確なルールが存在するわけではありません。
しかしおおまかな相場としては、1時間あたり10,000~30,000円を考えておくとよいでしょう。これを日当に換算すると、60,000円程度になります。
また、税務調査の事前準備に対する費用は発生しない場合がほとんどですが、長期間の対応が見込まれる場合には顧問料が発生することもあります。
また修正申告が必要となった場合の費用相場は、50,000円ほどとなっています。修正額によって費用が変動する場合や、成功報酬の場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
税務調査のおおまかな流れは、以下のようなものです。
順番に解説します。
税務調査の最初のステップは、税務署からの通知を受け取ることです。税務当局は調査の対象となる納税者に対して、一般的に電話による通知をおこないます。税理士が申告書に税務代理権限証書を添付して申告していた場合には、税理士に対して連絡が入ります。
納税者は税務署から税務調査の通知を受け取ったあと、納税者や税理士と税務当局との間で調査日の調整をおこなうことになります。
税務当局側が求める日時の通りに実行する必要はありません。納税者の都合に合わない場合や、適切な準備をおこなうために時間が不足している場合などは、調整を求めることが可能です。
ただし調査日を具体的に希望するときには、理由や背景を明確に伝えておきましょう。なぜなら税務当局に理由を明確に伝えないと、何かを隠そうとしているのではないかとあらぬ疑いをかけられてしまうからです。
税務調査を受けるにあたって、納税者は税務署から要求された各種の書類や帳簿を用意する必要があります。必要とされる書類は、事業の規模や業種、調査の目的や内容によって異なる場合がありますが、一般的には以下のようなものが求められます。
書類や帳簿は、税務署からの通知を受け取った時点で指定された日までに整理し、当日に提出できる状態にしておくことが重要です。
税務調査は書類を基に、納税者の経理状況や税務申告の正確性を確認するものであるため、不備や欠落があると調査がスムーズに進みません。そればかりか不当な評価を受けるリスクも高まってしまいます。
税務調査当日は、税務署の担当者が納税者の事務所や税理士の事務所を訪問し、調査を開始します。多くの場合、税務調査をおこなうのは2日間です。
担当者はまず、調査の目的や内容を納税者に説明し、その後、事前に用意された各種書類や帳簿の確認をおこないます。
この際、納税者や税理士は、担当者の質問に対して適切に答えなければいけません。具体的な取引の背景や金額の内訳、記載内容の理由など、帳簿や書類に関する質問に正確かつ明確に答えることが、スムーズな調査のためには不可欠です。
税務調査の過程で、税務署から質問や問い合わせが届くことがしばしばあります。問い合わせは、帳簿や書類の不明瞭な点や疑問点、あるいは特定の取引や金額に関する詳細を確認するためにおこなわれます。
納税者や税理士は、問い合わせに対して速やかに、正確に回答しなければいけません。回答が不適切であったり、きちんとした説明ができなかったりした場合、税務当局が納税者に対して追加の税金を課すリスクが高まってしまいます。
慎重な対応が必要です。
税務調査が完了すると、税務署から調査結果が通知されます。調査の結果は以下の3パターンに分類できます。
申告前任とは、そもそもの申告の内容に何も問題がないことを指します。修正申告とは、税務署の指摘に従って納税者が自分で申告する処置のことです。更正とは、税務署の指摘に対して納税者がきちんと対応しない場合に、税務署側が法規を根拠としておこなう課税処分のことです。
調査報告書に基づいて、納税者が追加で納めるべき税金が確定した場合、納税者はその額を納める必要があります。また調査の結果として課税の対象となった収入や支出の部分に関して、正確な金額や内容を税務申告書に反映させるための「修正申告書」を税務署に提出しなければいけません。
修正申告書の作成や納税の際には、税理士のアドバイスやサポートを受けることをおすすめします。
税務調査は、納税者の税務に関する正確さや適切さを確認するためのものです。税務調査を受けるリスクを減らすためには、日常の経理・帳簿の取り扱いや税務申告に細心の注意を払う必要があります。
税務に関する知識や経験が不足している場合、納税者自身で適切な手続きや記録をおこなうのは難しいこともあるでしょう。したがってリスクを減らす方法としては、以下の2つが挙げられます。
順番に見ていきましょう。
税務申告を税理士に依頼することは、税務調査のリスクを減少させる有効な手段の一つです。
税理士は税法や関連する法令に関する専門知識を有しており、申告内容の確認や正確な試算を行うことが広く認知されています。したがって税理士が申告に関わっているだけで、書類の信頼性が高まり、そもそも税務当局に疑われる可能性を下げることが期待できます。
また税理士が申告書を作成していれば、仮に税務調査が入ったときにも、税理士自身が書類を作成しているため、担当者の指摘に対し適切に対応しやすくなるでしょう。
書面添付制度とは、税理士が納税者の申告内容について確認し、その結果を税務署に提出する制度です。この制度を利用することで、税務署は納税者の申告内容についての信頼度が高まると評価し、税務調査の対象となるリスクが低減するとされています。
具体的には、税理士が納税者の帳簿や書類を確認し、申告内容についての正確性や妥当性をきちんとチェックした旨を税務署に提出します。いわば「プロのお墨付き」です。
書面添付制度を使っておくと、仮に税務調査の対象となった場合にも、まず税理士の元に連絡が入るため、専門家同士のスムーズなやり取りが期待できます。
税務調査を税理士に頼む場合の注意点としては、以下の2つが挙げられます。
順番に見ていきます。
税務調査の経験は、税理士のスキルや実績を判断するうえで重要な要素となります。
立会いの際には、税務署の担当者とのコミュニケーション、調査内容の確認や、ときには交渉が必要です。そのため税理士の経験が豊富であることは、納税者の利益を守るうえで大きな強みとなります。
税理士を選ぶ際には、これまでにどれだけの税務調査の立会い経験があるのか、具体的にどのようなケースでの立会いを経験してきたのかを確認しましょう。さらに、これまでの税務調査での成功例や困難だったケース、その対応方法などの具体的な実績も尋ねることをおすすめします。
税務調査のサポートに要する業務の範囲や費用は、税理士や事務所によって異なることがあります。初めての依頼であれば、具体的にどのようなサービスが提供されるのか、どれだけの費用がかかるのかを前もって明確にしておくことが重要です。
例えば、税務調査の事前準備・立会い時のサポート・調査後の修正申告書作成・その後のフォローアップ。これらのサポート内容や範囲を具体的に確認することで、あとから予期しない追加料金が発生するなどのトラブルを避けられます。
税理士が持つ専門性や経験に応じた費用体系が設定されている場合もあるので、その点もしっかりと確認しておきましょう。
税務調査は、多くの企業や個人事業主にとって重要なイベントであり、適切な対応が求められます。税務調査の過程において、性格かつ迅速な対応が必要とされるなか、経験豊富な専門家のサポートは非常に価値があります。
その一方で、税理士の選び方や、費用に関する注意点なども理解しておかなければいけません。
千代田税理士法人は、数多くの税務調査の経験を持ち、納税者の権益をしっかりと守るためのサポートをおこなっています。税務調査の立会いから修正申告書の作成、さらには税務上のアドバイスやコンサルティングまで、一貫したサービスを提供しております。
初回相談は無料となっておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
個人事業主も税務調査の対象となり得ます。
税務署が調査を行う背景には、例えば確定申告の内容に不整合が見られた時や、特定の業界や業種に対する定期的な調査などがあります。特に個人事業主は専門的な会計知識を持たない場合も多いため、税務上のミスが生じやすくなるというのが税務当局の考えです。
そのため個人事業主もまた、税務調査の対象として扱われます。
税務調査されやすい会社の特徴としては、まず急激な利益の増減が見られることが挙げられます。例えば前年度に比べて利益が格段に増加した場合、その背景や原因について税務署が注目する可能性は高まるでしょう。
また、多岐にわたる複雑な取引を持つ企業も注意が必要です。海外取引や関連会社との取引、子会社との取引などが増えることで、税務処理が難しくなり、誤った申告や計上が生じるリスクが高まるからです。
さらに以前の確定申告や税務処理に矛盾や不整合が見られる場合、それが再度の税務調査の原因となる可能性もあります。